地下水解析
地下構造物の建設に伴う地下水流動場への影響予測、汚染物質の移流拡散状況や対策効果の評価など、地下水シミュレーションの解析受託サービスを行っています。
地下水モデルとは
地下水モデルとは、井戸開発において十分な水量が確保できるかどうか、地下掘削においてどの程度まで水位を低下させることができるか、汚染物質の地下水中での拡がりはどの程度であるか、といった地下水に関する諸問題を解決するためのツールであり、問題解決に向けて現実の複雑な地下水システムを単純化して表現したものです。地下水モデルを使うことによって、施工・対策等の幅広いシナリオを迅速かつ定量的に評価することが可能となります。

シミュレーションツールと地下水モデリング
地下水流動や物質輸送の支配方程式は、解析解法や数値解法によって解くことができます。解析解法は、単純化した条件の下、手計算的に解が得られるため、扱 いやすく、水理地質データも少なくて済みますが、適用範囲が限定的といった欠点があります。一方、数値解法は、反復計算によって解を求める方法で、比較的 扱いが難しく、多くの水理地質データを必要としますが、適用範囲が広いといった利点があります。
通常、地下水モデルとは後者の数値解法モデルをさし、有限差分法や有限要素法などに基づく地下水解析コードが開発されています。
通常、地下水モデルとは後者の数値解法モデルをさし、有限差分法や有限要素法などに基づく地下水解析コードが開発されています。
有限差分法
- 一般的な特徴:モデル領域内の空間分割が矩形に規制されるので厳密な幾何形状を表現しづらいが、理論的に分かりやすく、局所的なマスバランス(流体の質量収支)も保障される。
- 代表的解析ソフトウェア:Visual MODFLOW(Schlumberger Water Service社製)
有限要差法
- 一般的な特徴:モデル領域内の空間分割を矩形に捉われず行うことができるので、厳密な幾何形状や割れ目系流れなど表現しやすいが、理論的には複雑で局所的なマスバランスは保障されない。
- 代表的解析ソフトウェア:FEFLOW(DHI-WASY社製)
地下水モデルは水理地質環境を数学的に表現したもので、計算実行やプリ・ポスト処理にはVisual MODFLOWやFEFLOWといったソフトウェアを利用することができます。
- 地形・地質 ⇒ プロパティ(透水係数や貯留係数など)、モデル構造
- 地表水体や降水条件 ⇒ 境界条件
- 観測データ ⇒ キャリブレーション対象

適用例
- 水源開発における井戸能力や井戸干渉の影響評価
- 水源保護エリアの検討
- 建設工事における排水システムの設計
- 河川堰き止めによる周辺地下水への影響評価
- 河川水位・降雨強度上昇に伴う堤防の安定性評価
- 汚染地下水の移流拡散によるリスク評価(自然減衰評価)
- 汚染地下水の浄化システムの効果比較
- 有機塩素系化合物の地下水中での分解過程の検証
- 沿岸域での揚水に伴う塩水侵入の影響予測
- 沿岸域の深層地下水における熱対流の解析


サイト概念モデルによるリスク評価
近年、サイト概念モデルによるリスク評価が注目されています。これは、土壌汚染対策法の適用対象外とされるトンネル掘削等で発生する岩石ズリなどに対して、従来の発生源評価ではなく、井戸等の受容体(保全対象)で評価する考え方で、評価にあたっては地下水シミュレーションが重要な役割を持っています。レアックスでは、地下水シミュレーションの解析受託を行なっており、『サイト概念モデルによるリスク評価』の官公庁での受注実績もあります。
<業務紹介 >
当該現場では、トンネル掘削ずり(砒素溶出量が土壌環境基準を超過する岩石ずり)の道路盛土材への利用が計画されていました。本業務では、盛土近傍に位置する飲用井戸でのリスク評価を行なうため、「サイト概念モデル」を構築し、検討期間を100年とした地下水解析(シミュレーション)を行ないました。また、リスク評価の精度向上に向けて盛土材および原地盤の吸着特性等の設定諸条件による影響を感度解析的に把握し、設定諸条件毎の影響順位を把握するとともに、検討期間中の地下水中砒素濃度の監視ならびにリスク評価の精度向上に有効なモニタリング候補地点も提案しました。

